デジタル化・AI導入補助金で導入できるもの・できないもの

ソフトやクラウドの利用料は対象になりますが、パソコンなどの機器は枠によって扱いが違います。補助額、申請に必要な準備、締切と7次からの変更点を順に説明します。

文・株式会社プロヴァシス

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者が、AIを含むITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。2026年に、「IT導入補助金」から名前が変わりました。

まず確かめたいのは、入れたいものが「事務局に登録されたITツール」かどうかです。登録されたソフトやクラウドサービスであれば対象になります。機器だけを買う場合や、契約を先に済ませた場合は対象になりません。

デジタル化・AI導入補助金は、登録されたITツールの導入費用を補助します

この補助金の目的は、ITツールの導入で中小企業の労働生産性を上げることです。2026年からは、AIを使ったツールも対象にはっきり含まれるようになりました。

対象になるのは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が扱う、登録済みのITツールです。IT導入支援事業者とは、ITツールを販売・提供し、申請を一緒に進める会社のことです。申請は、自社とIT導入支援事業者が共同で作ります。

また、補助金は後払いです。交付決定のあとに契約と支払いを済ませ、実績を報告してから受け取ります。そのため、いったんは全額を自社で支払う必要があります。

制度の目的と窓口は、中小企業庁のデジタル化・AI導入補助金2026の公募要領の公開のページにまとまっています。

導入できるのは、ソフトとクラウド利用料と導入の支援です

通常枠で対象になる費用は、大きく分けて3つです。

  • ソフトウェアの購入費
  • クラウドサービスの利用料(最大2年分)
  • 導入関連費(導入や活用の相談、設定・マニュアル作成・研修、保守のサポート)

たとえば、会計や受発注、顧客管理のクラウドサービスが当てはまります。文書の下書きや問い合わせの対応にAIを使うツールも、登録されていれば対象になります。

なお、導入関連費のような「役務」の費用は、補助の対象になる上限が200万円と決まっています。ソフトに比べて相談や設定の費用が大きい場合は、見積りの内訳を早めに見ておきましょう。

デジタル化・AI導入補助金で導入できるもの(ソフト、クラウド利用料、導入の支援)と、できないもの(機器だけの購入、交付決定前の契約、ホームページ制作が目的のもの)
通常枠で対象になるもの・ならないもの

枠ごとの補助額と補助率

デジタル化・AI導入補助金には、目的別にいくつかの枠があります。会社の多くが検討する3つの枠は、次のとおりです。

枠補助額補助率
通常枠5万円〜150万円未満(1プロセス以上)、150万円〜450万円以下(4プロセス以上)2分の1以内(条件により3分の2以内)
インボイス枠(インボイス対応類型)ソフトは機能が1つなら50万円まで、2つ以上なら350万円まで50万円以下の部分は4分の3以内(小規模事業者は5分の4以内)
セキュリティ対策推進枠5万円〜150万円2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)

プロセスとは、ツールが受け持つ業務の種類のことです。たとえば、会計と顧客管理のように、業務の数が多いほど補助額の上限が高くなります。

セキュリティ対策推進枠は、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載ったサービスが対象です。利用料は最大2年分まで含められます。

このほか、複数の事業者が連携して取り組む「複数者連携デジタル化・AI導入枠」もあります。どの枠で申請するかは、導入するツールと目的によって決まります。迷う場合は、IT導入支援事業者に相談して決めます。

パソコンなどの機器は、通常枠では補助の対象になりません

通常枠の対象経費には、パソコンやタブレットなどの機器が入っていません。機器が対象になるのは、インボイス枠です。

インボイス枠では、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトと一緒に導入する場合に限り、機器も対象になります。パソコン・タブレットなどは10万円まで、レジ・券売機は20万円までで、補助率は2分の1以内です。

ほかにも、次のような費用は対象になりません。

  • 交付決定の前に契約・発注・支払いをしたITツール
  • 事務局に登録されていないソフトやサービス
  • 機器だけの購入(インボイス枠でソフトを入れない場合も含む)

交付決定の前に契約や発注をした場合は補助の対象にならないと、公募要領に書かれています。見積りの段階で止めておき、契約は交付決定の通知を待ってからにしましょう。

ホームページの制作は、この補助金の目的ではありません。ホームページに使える補助金は、ホームページ制作に使える補助金の探し方と、申請前に確認したいことで説明しています。

申請の前に、GビズIDとSECURITY ACTIONを済ませます

申請には、2つの準備が必要です。どちらも自社で手続きするもので、IT導入支援事業者を選ぶ前から進められます。

  • GビズIDプライム:国の電子申請に使うアカウントです。発行まで、おおむね2週間かかります
  • SECURITY ACTION:IPAの制度で、情報セキュリティに取り組むことを自社で宣言します。「一つ星」か「二つ星」の宣言が必要で、宣言済みのIDの発行はおおむね2〜3日です

準備が済んだら、次の順番で進めます。

  1. 公式サイトと公募要領で、補助の内容を確かめます。
  2. GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言をします。
  3. 業務の課題に合うIT導入支援事業者とITツールを選びます。
  4. IT導入支援事業者と共同で交付申請を作り、事務局へ出します。
  5. 審査のあと、交付決定の通知が届きます。
  6. 交付決定のあとに契約・導入・支払いをして、実績を報告します。
デジタル化・AI導入補助金の申請の流れ:準備、ITツールの選定、交付申請、交付決定、導入と支払い、実績報告
申請から補助金を受け取るまでの流れ

詳しい手順は、事務局の申請・手続きフローに載っています。

IT導入支援事業者の見積りでは、3つの点を確かめます

申請はIT導入支援事業者と共同で進めます。見積りを受け取ったら、次の3つを見ておきましょう。

  • 見積りのITツールが、デジタル化・AI導入補助金の対象として事務局に登録されているか
  • ソフト、クラウドの利用料、設定や研修などの費用が、分けて書かれているか
  • 導入したあとの使い方の相談や、困ったときの問い合わせ先がどうなっているか

クラウドの利用料は最大2年分までが対象で、3年目からの利用料は自社で払い続けます。補助が終わったあとの費用も、見積りの段階で出してもらいましょう。

また、補助金を受け取ったあとも、事業計画の数値などを事務局へ報告する手続きがあります。報告の時期と内容も、事業者に聞いておきましょう。

6次の締切は2026年10月30日で、7次からは要件が変わります

デジタル化・AI導入補助金の6次の締切は、2026年10月30日(金)17:00です。交付決定は2026年12月10日(木)の予定です。

GビズIDプライムをまだ持っていない場合は、発行までおおむね2週間かかるため、6次に間に合わない可能性があります。その場合は、7次に向けて準備を始めましょう。通常枠の7次の締切は2026年12月1日(火)17:00、交付決定は2027年1月19日(火)の予定です。

2026年10月9日には、事務局から「第7次公募回以降における制度変更のお知らせ」が出ました。主な変更は次の2つです。

  • 通常枠の補助率の条件が、2026年度の地域別最低賃金の改定に合わせて変わります
  • 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で、従業員1人当たりの給与の伸びに関する要件が加わります

給与の要件は、申請額と過去の交付で変わります

10月9日に出た通常枠の公募要領では、給与の要件が申請額によって分かれています。たとえば、通常枠で150万円以上を申請する場合は、1年後に1人当たりの給与支給総額を3%以上上げる計画が必要です。あわせて、事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすることも求められます。

ただし、過去にIT導入補助金2022〜2025の交付決定を受けた事業者は、目標が3.5%に上がります。一方で、医療機関や介護事業者など、要件の対象外になる事業者もあります。

計画を達成できなかったときは、補助金の返還を求められる場合があります。申請額を決める前に、給与の計画が無理のない範囲かを社内で話し合っておきましょう。

締切と変更の内容は、事務局のスケジュールと制度変更のお知らせで確かめてください。

ツールを選ぶ前に、楽にしたい業務を決めておきます

補助金があるからツールを選ぶ、という順番だと、入れたあとに使われないことがあります。まずは、時間がかかっている業務と、その原因を書き出しておきましょう。

デジタル化・AI導入補助金の事業計画では、1年後に労働生産性を3%以上上げることが求められます。ツールを入れたあとに、業務の時間が減ったかを数字で示すことになります。どの業務を楽にするかが決まっていれば、計画の数値も立てやすくなります。

たとえば、請求書の作成、問い合わせへの返信、議事録の作成などです。業務ごとに「誰が・月に何時間・何を使って」行っているかを並べると、ツールに求める機能がはっきりします。

AIのツールを入れる場合は、入力してよい情報の範囲も先に決めておく必要があります。社内のルールの決め方は、生成AIを業務に使う前に、社内ルールで決めておきたいことで説明しています。

当社では、業務の洗い出しから、AIを小さく始める進め方、社内で使いこなせるまでのお手伝いまでをお受けしています。詳しくはサービスのページをご覧ください。

よくあるご質問

Q. パソコンの買い替えに、デジタル化・AI導入補助金は使えますか?

A. パソコンだけの買い替えには使えません。インボイス枠で会計などのソフトと一緒に導入する場合に限り、パソコン・タブレットなどは10万円までの範囲で対象になります。

Q. すでに契約したソフトを、あとから申請できますか?

A. できません。交付決定の前に契約・発注・支払いをしたITツールは、補助の対象外です。

Q. 生成AIのサービスなら、どれでも対象になりますか?

A. 対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。使いたいサービスが登録されているかは、IT導入支援事業者に確かめてください。

対象と締切を確かめてから、IT導入支援事業者に相談しましょう

デジタル化・AI導入補助金の申請前に確認することは、使いたいツールが事務局に登録されているか、契約を交付決定の後にできるか、GビズIDプライムとSECURITY ACTIONが済んでいるか、7次から加わる給与の要件を満たせるかの4つです。最新の公募要領で確かめてから準備を進めましょう。

佐世保市を中心に、長崎県内と佐賀県の一部で、AIやITツールの導入をどの業務から始めるか迷っている方は、株式会社プロヴァシスへご相談ください。業務の流れをうかがい、導入の順番を一緒に整理します。ご相談はお問い合わせから受け付けています。

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